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第2期プロジェクトに向けたプレセミナーの活動報告
イベント
2024.08.07

第2期プロジェクトに向けたプレセミナーの活動報告

8/2 第1回プレセミナー開催

8月2日に第2期プロジェクトに向けたプレセミナーがオンラインで開催され、第1期のプロジェクトにご参加いただいた、東京工業大学生命理工学院上野教授のチームメンバーが、プロジェクトの3ヶ月間のプロジェクトの体験談を語り、プロジェクトによる進展と成果を共有しました。研究テーマは「細胞内たんぱく質結晶化」であり、これはグローバルインフォメーション(GII)調べによると、タンパク質精製や分離に関連する世界市場が年平均成長率(CAGR)15.25%で成長しているという背景から着目された分野です。

本研究は、従来のタンパク質結晶化プロセスが通常3ヶ月以上かかるのに対し、短期間での実現を可能としています。具体的には、「細胞で生じる自発的なタンパク質結晶化」という新しいアプローチを用い、精製を一切必要とせずに標的タンパク質を結晶内包化することが可能です。この研究は、タンパク質の精製・分離における従来の手法に代わる革新的なソリューションを提供する可能性を秘めています。

 

事業活動概要(2024/1~2024/6)

チームは複数人で構成されており、その主なメンバーは、大手エネルギー商社で事業開発とマーケティングを担当している専門家の方、大手化学メーカーでオープンイノベーションに関わっている方、そして、大学の主任URA(大学リサーチアドミニストレーター)の方で、これらのメンバーがそれぞれの専門分野での知見を持ち寄り、プロジェクトの成功に向けて協力しました。

第2期プロジェクトに向けたプレセミナーの活動報告

2024年1月に開催されたKSP交流会で、URAの方の素晴らしい働きによりチームが完成しました。2月より活動を開始し、4月の段階で11社もの企業を面談をしたことがキーポイントとなり、経営人材と研究者ともに企業行脚したことは、その後の顧客ニーズ抽出と、チームビルディングに大きく影響しました。

 

事業化検討内容

本プロジェクトのビジョンは、PCM(Protein Crystal Material)によって様々な社会課題を解決することです。このビジョンを実現するために、プロジェクトのミッションは、PCMによってタンパク質精製に革新を起こすことにあります。つまり、20社以上のヒアリング結果をもとに抽出された社会課題に対して、新たな解決策を提案し、実質的な変化をもたらすことを目指しています。

第2期プロジェクトに向けたプレセミナーの活動報告

タンパク質結晶化技術は、主にタンパク質結晶マテリアル事業とタンパク質構造解析の2つの分野に分類されます。顧客ニーズに基づき、抽出された事業は、タンパク質結晶マテリアル事業による酸素製品、次に同じくタンパク質結晶マテリアル事業から派生した生体材料、そしてタンパク質構造解析を用いた新規創薬開発の3つで、本プロジェクトでは、3か月間の取り組みの中で、特に酸素製品に注力しました。

第2期プロジェクトに向けたプレセミナーの活動報告

業内容は以下の3つに分かれています。まず、酸素製造に関する研究開発(R&D)サービスを提供します。次に、PCM製品の製造と販売を行い、さらにPCMにより産出される化学品の製造と販売も手掛ける予定です。

 

今後の展望

今後の展望としては、事業の継続と、2027年中の事業化を目指しています。そのために、GAPファンドの申請やアクセラプログラムへの参加を計画しており、これらのプログラムを通じて必要な資金調達や支援を受けることを目指しています。成功に向けては、より顧客ニーズやビジネスモデルの解像度を上げるための事業会社及びVCの支援と、機器、創薬領域における専門家の登用が不可欠であり、これにより研究のさらなる発展と実用化が期待されています。

 

産学連携の伴走支援

東京工業大学は3年前に「スタートアップ元年」と宣言し、研究開発型ベンチャーによる新産業の創出に向けた取り組みを加速させました。その一環として、Tokyo Tech Gap Fund Programがあります。
市場調査に基づく事業化計画の作成に対する伴走支援の内容は、主に次の二つの側面から成り立っています。まず、環境の支援や知識習得の提供です。次に、人材の支援があり、これには事業化ファシリテータ、事業化メンター、学生リサーチャー、そして企業内起業家(EIR)が含まれます。今回、MPM事業を活用し、EIR人材の確保をKSPに委託しました。
加えて、世界を変える大学発のスタートアップを育成するため、首都圏の17大学が連携する「Greater Tokyo Innovation Ecosystem」の推進を進めています。このエコシステムの構築により、スタートアップの成長とイノベーションの促進を目指しています。

 

プロジェクトに参加してみての感想

研究者:ゼロからスタートすることの難しさを実感しながらも、各メンバーとのマッチングの機会がいかに重要かを改めて感じました。それぞれの役割がはっきりと見えてくることで、チーム全体の力を結集することができました。また、事業のスケールや創業までの時間軸については、最初は全くイメージできませんでしたが、実際に知ることができたのは非常にありがたかったです。さらに、基礎や応用から実用への壁を突破するための挑戦がありました。論文投稿や予算申請とは異なる形での壁打ち面談を経験できたことは、私にとって新たな視点を得る機会となりました。評価が厳しい中で、熱意やプレゼンテーション能力の重要性を実感し、普段の研究生活とは違う力が必要だと感じました。

 

経営人材:普段の業務では触れることのない分野を開拓できたのは、とても新鮮で貴重な体験でした。それに加えて、大企業とは違う、スピード感のある事業化計画に携われたことも非常に刺激的でした。この経験を通じて、さまざまな視点からの事業運営や計画の立て方について学び、多くの成長を感じることができました。

 

URA:交流会で、研究者と経営人材の双方のプレゼンテーションを聞けたのは非常に良い経験でした。特に、大学側から経営人材候補者に対して積極的にコンタクトを取ることで、より良いチーム形成ができたと感じています。この相互の交流が、プロジェクトの成功に大きく寄与したと思います。企画書を書くだけでは曖昧なまま終わってしまうため、実際に結果を出すことが非常に重要です。GAPファンドの獲得はその一つの手段ですが、事業を進める上で、極めて重要な検討フレームが存在し、結果を出すことによって、自信を持って次のステップに進むことができることが大切だと感じていて、それが出来たことはとても良かったと思っています。

 

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